第10回 福井県 廣部硬器様

厳しい環境にさらされても、家族と一緒なら輝き続けられる。厳しい環境にさらされても、家族と一緒なら輝き続けられる。

例えば、三つ葉葵で有名な徳川幕府の家紋や、昇る朝日と陽射しをかたどった警察章(旭日章)、さらに各大学の校章などが紋章にあたる。紋章はそのデザイン自体が美しく、さらに建物に飾ってある立体的な紋章は大きいだけでなく、まぶしいほどの輝きや優れた造形美など、すべてに芸術的な粋に達しているものがある。警察署や交番など、暮らしの中で目にする機会が多い警察紋章は、その代表的な美しい造形品だろう。今回は警察関連施設をはじめ、消防署、校章、家紋などの紋章を独自の技術力でつくっている、福井県の廣部(ひろべ)硬器を訪れた。

福井県 廣部硬器様 | 2017.3.29

福井県福井市で警察紋章をつくっている廣部硬器を訪ねて。

訪問した先は福井県福井市にある「廣部硬器」。昭和31年に創業し、60余年の歴史があるセラミックス造形企業だ。セラミックスとは陶磁器やガラス、ほうろうなど窯業で生産される製品または材料の総称。一般的に茶碗などの製品をつくっているイメージを抱くが、廣部硬器ではいわゆる日常品はつくっていない。実は、同社の主力製品は警察の紋章で、堂々の全国シェア1位を誇る。「メディアの方が私たちのことを調べてくれて、初めて1位ということを知りました」と、同社代表の廣部耕一氏は控えめに話してくれたが、この実績には確かな理由がある。従来の紋章は金属製だったので、風雨などの環境下では数年で劣化がおきていた。同社はこの問題を解決するため、新たな視点でセラミックス素材を採用し、独自の純金焼成技術を開発。紋章の美しさを半永久的に保つことに成功したのだ。現在は、全国47都道府県にある機関・企業・施設から製作依頼をされるほどの信頼を得ている。