レコード、カセットテープ、CD……。テクノロジーの進化と共に、音楽の楽しみ方は変遷を重ねて来た。しかし30代以上の人達にとって、大変馴染み深いのがレコード。歴史も古く、1877年にトーマス・エジソンが、世界で初めて実際に稼働したフォノグラフ(円柱型のアナログレコード)を開発したことに始まる。その後円盤式レコードが登場し、実用化に向け改良を重ねていくと、次第に世界中を席巻。CD登場から30年経った今でも、A面やB面、アルバムといった言葉が使用されているのは、慣れ親しんだレコードの名残である。今回は音楽ソフトが変化し続けていても、変わらずにレコードの針をつくり続けている日本精機宝石工業に足を運んだ。
JICO(日本精機宝石工業株式会社)様 | 2016.2.18
訪ねた先は、兵庫県新温泉町でレコード針をつくり続けているJICO(日本精機宝石工業株式会社)。
西は鳥取県、北は日本海に面している兵庫県美方郡新温泉町。閑静なこの町に、日本精機宝石工業は1959年に創業した。同地は元々縫い針の一大生産地。同社の前身も、縫い針を製造する仲川製針工場(明治6年創業)であった。縫い針用の機械をそのまま利用できたため、蓄音機の針製造へ乗り出す。その後レコード針の製造を始めるが、レコードプレイヤーと蓄音機との共通性が無かったため、まさにゼロからのスタートとなる。市場で販売されている多種多彩なレコード針を購入し、全てを分解。分析・研究を続け、やがて独自の技術を生み出した。そして1966年、ついにダイヤモンドを針の先端に埋め込んだレコード針の開発に成功。真面目に取組んだその誠実な姿勢に、ものづくりの神が微笑んだ瞬間であった。