ドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェフィールドとならび世界三大刃物産地の一つに数えられる、岐阜県関市。関市で刃物づくりが行われるようになったのは約800年前。刀づくりに必要な良質の焼刀土と炉に使う松炭、そして長良川と津保川の水があったことから、多くの刀匠が定住するようになったのが「日本一の刃物のまち」誕生の始まりといわれている。以来、卓越した日本刀の技術が刃物産業に受け継がれていった。中でも包丁は、「折れず、曲がらず、よく切れる」と言われ全国に伝播。その品質の良さは国内だけでなく、世界的にも高く評価されている。今回は、この関市で刃物づくりを行なっている丸章工業を訪ねた。
岐阜県 丸章工業様 | 2022.8.30
岐阜県関市で刃物の開発・製造・販売を行う、丸章工業を訪ねて。
今回訪れたのは岐阜県関市で、刃物の開発、製造、販売を行っている「丸章工業」。包丁やハサミ、ナイフなどをメインに手がけている企業である。同社の社是には「常に先駆者たれ」~常に新しい材料、工法、サービス、販売方法を見つけ出し、他には真似できない“ものづくり”を追求する企業を目指すこと~、とあり、その意思を最初に高いレベルで実現したのが1974年に誕生したハサミの「シルキー」だ。ハサミの構造を原点から見直し、絹が擦れ合う時に出るシャリシャリとした軽く上品な音のように、滑らかにしかも良く切れるハサミを開発。先端機械を駆使し、同じ材質・同じ硬度を持っている刃材と比較しても、衝撃に強く耐摩耗性も優れている。デザイン性も品質も高い「シルキー」は当時としてはとても画期的なハサミだったため、雑誌などのメディアで取り上げられ絶賛。一躍、人気商品となった。丸章工業の中でも歴史が最も深いブランドであり、同社の名を全国に広めた、最初の商品である。